2008年2月13日

愛知万博の初期コンセプト - 書評 - デザインのデザイン 原研哉

いつもお読みいただきありがとうございます。感謝しています。



昨日に引き続き、デザインのデザインから。

愛知万博の初期コンセプトのことが一番面白かった。

知っている人も多いのかもしれない。

原さんは、アートディレクターとして、
愛知万博の初期の立ち上げにかかわっていた。

その初期コンセプトが、私を惹きつける。

ただ、実際の愛知万博をどうこういうのではなくて、
初期コンセプトにひかれるだけであるということは断っておきます。

さて、愛知万博の初期のコンセプトを箇条書きにしてみよう。


・日本の多くの人々は、愛知万博の初期において、
 どんな構想をもたれていたかを知っておいたほうがいい。

 それは、日本が今日いかなる可能性をもつ国であるかということを
 考えるヒントになるはずだからである。

・日本が提出した博覧会のテーマは、「自然の叡智(えいち)」であった。

・古来より日本人は、叡智は自然の側にあり人間はそれを汲み取って
 生きていると考えてきた。

・これは人間を神の視点に近いところに位置づけて、叡智を人間の側のものとし、
 荒ぶる野生としての自然を人間の知性で制御しようとした
 西洋的な思想風土とは異なる発想である。

・中心に人間を置いて世界に向き合うという西洋的な発想は、
 生きる主体の意志と責任を表明する態度であり、それなりに説得力を持ってきた。

・そしてまさに人間主体の発想のもとに近代文明は築かれてきたといっていい。

・しかしながら、今日の文明は自然を制御するどころか、それを壊し続け、
 自然とともにある自分たちの生命圏をも大きく傷つけてしまったのである。

・一方で、人間の知性の象徴である科学は、今日ではその先端にたつほどに
 自然や生命の驚くべき精緻に接し、それに目を見張っている。

・人智のおよばない叡智に遭遇し続けることは、人間もまた自然の一部であるという
 謙虚な思考におのずと導かれる。

・すなわち、日本人が古来より抱き続けてきた自然観に科学の先端の
 感性が接近してきたのである。

・「新しい地球創造:自然の叡智」が初期コンセプトであった。



この記述から地球を守ろうとか救えという考えは出てこないのが
わかるでしょうか? 

地球を救おうというスローガンの今のマスコミ主導のエコに疑問を覚える理由は、
「古来より日本人は、叡智は自然の側にあり人間はそれを汲み取って
 生きていると考えてきた。」に集約されているのです。

デザインの世界で、世界中の人と渡り合っている原研哉さん。
やはり、感じるものがあるのですね。

これからも、学ばさせていただく、お一人ですね。


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