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今回紹介する本は、ラサール石井さんのお笑い分析の本です。
笑いの現場―ひょうきん族前夜からM-1まで (角川SSC新書 27)
目次
はじめに
第1章 コント赤信号でみたお笑い界 ノンフィクション編
1.ネタ時代 - 第一次寄席ブームと第二次寄席ブーム
2.再びネタ時代 - 漫才ブームとコント赤信号
3.ひょうきん族がつくった時代 - 漫才ブームの終焉
4.空気の時代 - お笑い第三世代の登場
5.リアクションの時代 - 電波少年からボキャ天 そしてめちゃイケ!
6.またもネタ時代 - M-1グランプリを採点する
第2章 お笑い芸人列伝 評論編
1.ビートたけし - 10人の中の1人であり続けるために
2.明石家さんま - 爆笑のためにけっして引くことなし
3.志村けん - ピエロの原点
4.とんねるず - 中高生のカリスマとなって
5.ダウンタウン - フリートークという漫才
第1章と第2章の概要を本文か紹介しよう。
P11
この第1章では、イシイアキオがいかにしてお笑いの世界に足を踏み入れ、
悪戦奮闘しながらなんとか30年間、芸能界の第一線にギリギリしがみついて
現在のラサール石井になったかを描きながら、同時に昭和から平成にかけての
お笑いの歴史とその内側がわかっていただけるようになっている。
そして第2章ではお笑い芸人たちの笑いを分析し、その面白さと人気の秘密に迫ろうと思う。
第1章は駆け足ながら、お笑いの歴史が俯瞰できる。
若い方には、特に参考になるでしょう。
この1章も、笑いの分析が入っていて、お笑い芸人さんにも参考になるでしょう。
私の目当ては、第2章でありました。
とくにラサール石井さんが、どうダウンタウンをとらえているのかが気になったのです。
P198
究極の漫才師
なぜ彼らが究極の漫才師なのか。すでに初期の作品が完璧な水準に仕上がっていることがまず挙げられる。
P200
ダウンタウンの凄いところは、フリートークが結果的にきっちりと漫才になっているところだ。
初めて喋っていることなのに、松本の言いたいことが浜田に伝わり、最も適切なツッコミが用意される。
そして必ず松本特有の、ちょっと歪んだ別のオチに発展していく。
雑談がそのままきれいな漫才になっている。
これが究極の漫才でなくて何であろうか。
用意されたお話というネタの持つ弱点を見事にカバーし、
といってアドリブだということでレベルが落ちることを許さない。
これができる者が他の漫才師にいるだろうか。
それらを毎週確実にこないしている彼らは、漫才師の完成形、究極の漫才であるわけだ。
ラサール石井さんの分析は、見事です。的を得ています。
そして、現在のダウンタウンをも見事に分析している。
私の感じていることと、まったく同じである。
(私は、石井さんのように、言語化できないけどね。^^;)
最近の「ダウンタウンDX」や「HEY! HEY! HEY!」を見ていると、
むしろ松本はわかりやすい笑いをわざとやっているように見える。
その中で、浜田を怒らせたり笑わせたりする。
エンジンをローのままで暖機運転し、時折急激にギアチェンジしたりするのを楽しんでいるように見える。
どちらにしても松本の世界は一般人にはかなりわかりにくいものがあり、
その翻訳装置としての浜田が恐山のイタコのように松本を分解し、
あるいは矮小化し、わかりやすくして観客に提示してくれるのである。
このような的確な笑いの分析が、ビートたけしさん、さんまさん、
志村さん、とんねるずさんでも展開されています。
お笑い好きは、要チェックです。
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